Camp Outdoor Life

道具ゼロの夫婦が、手ぶらで初キャンプに泊まってきた話【千葉・TORAMI】

キャンプ道具、何も持ってなかった。テントも寝袋も焚き火台も、何ひとつ。

でも行ってきた。泊まってきた。12月末の千葉で。

「椅子を置いただけ」が、全部のはじまり

キャンプを始める前、私たちのアウトドア経験は チェアリング だけだった。

チェアリングというのは、好きな場所に折りたたみ椅子を置いて、ただ座る。それだけ。葛西臨海公園で2回やっただけの、超ライトなアウトドア。

でも、それだけで十分に「外って最高だな」と思ってしまった。

「こんなに気持ちいいなら、キャンプもいけるんじゃない?」

この一言がすべての始まり。

とはいえ、テントもない。寝袋もない。焚き火台って何? というレベル。「まず道具を揃えてから……」なんて考え始めたら一生行かない気がしたので、発想を変えた。借りればいい。

調べてみると、千葉県の Ocean’s Camp TORAMII に手ぶらプランがある。テントも焚き火台も全部レンタルできる。

「じゃあ、まずデイキャンプで雰囲気だけ味わおう」

2025年12月30日、年末の休み。持ち物はチェアリング用の折りたたみチェアと防寒ブランケット数枚だけ。本当にそれだけ持って、車に乗り込んだ。

この日はデイキャンプの予定だった。

受付で人生が変わった

現地に着いて、レンタルの手続き。テント、焚き火台、薪……一式で14,000円。Snow Peak のギアを一つひとつ受け取りながら、スタッフさんが使い方を説明してくれる。「あ、なんとかなりそうだな」と思い始めたそのとき。

「あ、お客さん。プラス数千円で1泊に変更できますよ。シュラフも全部込みです」

……え?

頭の中が一瞬フリーズした。だって今日は日帰りのつもりで来てるんですよ。明日の予定もあるし、そもそも12月末の夜なんて凍えるんじゃないのか。初心者がいきなり泊まりって無謀では?

でも。

隣を見ると、相方の目がもうキラキラしてる。

「……泊まる?」「泊まろう。」

3秒で決まった。不安がなかったと言えば嘘になる。12月末の夜をテントで越えるなんて、冷静に考えたら結構怖い。でも、2人とも「行けるとこまで行ってみよう」の気分だった。

こうして、デイキャンプの予定は1泊キャンプに変わった。

テント設営、0点からのスタート

意気揚々とテントを受け取ったものの、開封した瞬間に固まった。ポールが何本も出てきて、どれがどこに入るのか全然わからない。

「説明書……え、これ読んでわかる人いる?」

ペグを打とうとハンマーを振ったら地面が硬すぎて跳ね返ってくる。ポールの向きが左右逆で最初からやり直し。2人であーでもないこーでもないと汗だくで格闘すること数十分。

見かねたスタッフさんが「お手伝いしますね」とスッと現れてくれた。ここ TORAMII のスタッフさん、本当に絶妙なタイミングで来てくれる。「全部やりますよ」じゃなくて、「ここはこうすると楽ですよ」と一緒にやってくれるスタイル。おかげで自分たちで建てた実感もちゃんと残る。初心者にとって、これがどれだけありがたいか。

テントが立った瞬間、思わず拍手した。たかがテント。されどテント。自分たちの「家」がフィールドに出現した感動は、やった人にしかわからないと思う。(ちなみにこの設営トラウマが、後に自分たちのテントを選ぶ基準を決定づけることになる。)

Snow Peak のテントとタープが設営されたキャンプサイト

家が建った。次は、飯だ。

焚き火と、語彙力の消失

近くのスーパーに駆け込んで、「焚き火で美味しそうなもの」を片っ端からカゴに入れていった。

  • ソーセージ — 串に刺して焼くだけ。焚き火の大定番
  • 鍋焼きうどん — アルミ鍋ごと火にかけるだけの最強ズボラ飯
  • — 網に乗せてぷくっと膨らむのを眺める冬の贅沢
  • マシュマロ — これを焼かずに帰れるか
  • — ソーセージもマシュマロもこれ1本で

「もうちょっと買っとく?」「買っとこう」を繰り返し、気づけばカゴが溢れそうに。レジで約8,000円。食材に串、着火剤、いろいろ合わせたらそうなった。初キャンプのご飯にしては張り込んだけど、まあいいでしょう。

サイトに戻って、薪に火をつけた。

パチパチと弾ける音。立ち上る煙。じわじわと広がる熱。串に刺したソーセージを炎にかざすと、皮がパリッと弾けて肉汁が滴る。

鍋焼きうどんはアルミ鍋を網にドンと置くだけ。火加減? 知らない。でもグツグツ煮えたぎるうどんを外で食べる、それだけでもう優勝。餅は網の上でぷくーっと膨らんでいく様子を眺めているだけで幸せ。

「これ美味しい」「いや全部美味しい」しか言ってない。ずっとそれしか言ってない。焚き火を囲んで食べると、たぶんコンビニのパンですら美味い。焚き火は最強の調味料だと思う。

マシュマロは外がカリッと中がトロッとなるまで焼くのがベスト。……と言いつつ、何本か炎上させた。焦げマシュマロも、まあいい。全部いい。この夜の焚き火が楽しすぎて、帰ってすぐ自分たちの焚き火道具を探し始めることになる。

焚き火台で薪が燃える様子鍋焼きうどん、餅、ソーセージを焚き火で調理中

12月末の夜、テントの中で

焚き火が静かになって、テントに入った。

正直、ここが一番不安だった。12月30日の夜ですよ。「やっぱりデイキャンプにしておけば……」が一瞬だけ頭をよぎる。

でもレンタルのシュラフに潜り込んでみると、これが想像以上に暖かい。さらに持参の防寒ブランケットを重ねたら、もう動きたくないレベルの快適さ。(後から調べてわかったけど、このとき寝袋だけじゃなくマットの断熱にも助けられていた。)

テントの中で耳を澄ますと、風が木々を揺らす音と、遠くで薪がはぜる音だけ。街中では絶対に味わえない、贅沢な静寂。

泊まりにして、本当に良かった。

そう思いながら、気づいたら朝だった。

「次、いつ行く?」

テントから出た瞬間、冬の朝の空気が肺に入ってくる。冷たい。でもめちゃくちゃ気持ちいい。ホットコーヒーが飲みたいな、と思ったけど焚き火を一から起こす気力はなかった。(この「朝コーヒー問題」が、後にバーナーを買うきっかけになる。)

たった1泊。チェアリングしかしたことなかった夫婦が、テントを建てて、焚き火で飯を食って、冬の夜をテントで越えた。

レンタル品を返却して、車に乗り込んで。エンジンをかけた瞬間、2人同時に言った。

「次、いつ行く?」

今回お世話になったキャンプ場

項目内容
施設名Ocean’s Camp TORAMII
所在地千葉県長生郡一宮町一宮100-1
公式サイトtoramii.jp
レンタル一式テント、タープ、焚き火台、シュラフなど(14,000円)
初心者向けスタッフが設営を一緒にやってくれる
今回の食材費約8,000円(食材・串・着火剤など)

道具も知識もゼロだった私たちが初キャンプで泊まりまでできたのは、間違いなくこのキャンプ場のおかげだと思う。「キャンプやってみたいけど何も持ってない」という人には、自信を持っておすすめします。

この日から、私たちは道具を揃え始めた。テント焚き火台調理器具とテーブル。ひとつずつ、自分たちの「不便」を解決しながら。