Camp Outdoor Life

設営トラウマの夫婦が選んだテント【Naturehike Village6.0】

ポールの向きがわからなくて最初からやり直し。ペグ(テントを地面に固定する杭)を打とうとしたら地面に跳ね返される。スタッフさんが見かねて助けに来てくれて、ようやくテントが建った。

前回の初キャンプの記事で書いた通り、私たちのテント設営デビューは散々だった。

あの体験自体は忘れられない。パチパチ燃える焚き火、息が白くなる冬の夜、朝テントを開けたときの冷たい空気。ただひとつ、テント設営だけが心残りだった。楽しかった記憶の中に、あのポール地獄がずっと引っかかっていた。

「次のキャンプは、自分たちだけでテントを建てたい」

帰りの車の中で話し合ったこの一言が、道具選びのスタートラインになった。

テント探し、1週間の迷走

TORAMII から帰ってきてから、妻が異様にキャンプにハマった。

毎晩のように Amazon でテントを眺めている。「テント おしゃれ 2人用」「テント 可愛い」。リビングでスマホを見ている妻の画面を覗くと、だいたいテントの商品ページが開いている。「これ、おうちっぽくて可愛くない?」「この色合い、めっちゃ良くない?」と次から次にリンクが飛んでくる。自分はそこまで熱中していなかった。キャンプは楽しかったけど、テント選びで頭がいっぱいという感じではない。ただ、妻が見せてくるテントを眺めているうちに、自分なりの基準ができてきた。どうせ買うなら Snow Peak や ogawa みたいな、多少高くても「間違いない」ブランドで揃えたかった。

特に妻が食いついたのが、COODY のエアテント。空気を入れるだけで立ち上がるテントで、見た目がとにかく可愛い。丸みのあるフォルムで、確かに写真映えする。

でも自分は2つ引っかかった。

まず値段。一番小さいモデルでも 6万6千円。まだ1回しかキャンプをしていない私たちが、テントだけに6万円以上出すのか。そしてもうひとつ、エアテントという仕組み自体。「空気で膨らませるって……キャンプ場で穴が空いたらどうするの?」と聞いたら、妻も「……確かに」と少しトーンが下がった。

Snow Peak や ogawa なら品質は間違いない。ブランドへの信頼感がある。ただ、エントリーモデルでも6万円前後、しっかりしたものは普通に10万円を超える。まだ1回しかキャンプをしていないのに、テントだけでそこまで出すのか。それに TORAMII でポール設営に苦戦した記憶もちらつく。設営の手間にそこまでこだわりはなかったけど、あのトラウマがゼロというわけでもない。

Snow Peak のアメニティドーム、Coleman のインスタントアップドーム、DOD のワンタッチテント、Naturehike の Village6.0。候補はどんどん増えていくのに、決められない。COODY のエアテントもまだ妻の中では候補に残っている。値段、見た目、設営のしやすさ、前室(テント入口の前にある屋根付きスペース)の広さ。全部を満たすテントなんてない。

少しでも安くしたくて、中古のアウトドアショップも何軒か回ってみた。でもキャンプ用品の中古って、思ったほど安くない。定価の1割引きくらいの値札がついていて、状態を考えたらほとんどお得感がない。「これなら新品でいいか」と思って、結局また Amazon に戻った。

候補を絞れないまま、1週間くらいが過ぎた。

Naturehike Village6.0 を選んだ理由と、微妙な点

で、ある日。

妻がいつものように Amazon を巡回していて、「ねえこれ見て」とスマホを差し出してきた。Naturehike の Village6.0 が1万5千円くらいまで値引きされている。通常2万5千円前後のテントだ。

Village6.0 は前室の広さと機能のバランスが良くて、候補の中でも気になっていたテントだった。それが1万5千円。一瞬考えて、ほぼ即決だった。カートに入れて、ポチ。この値段なら、最悪キャンプを辞めても傷は浅い。

Snow Peak や ogawa は品質に間違いないけど、初心者が最初の1張りに出す金額じゃなかった。COODY は見た目が最高だけど、6万6千円とエアテントの耐久性が未知数。結局、セールという「タイミング」が背中を押してくれた形だ。

設営の簡単さは YouTube の動画で確認済みだった。ワンタッチ構造で、傘を開く要領でフレームを広げて、上からテント生地をかぶせるだけ。「これなら自分たちでもいけそう」と思えた。

ただし、気になる点もある。

重さが約10kg。数日後に届いた箱を持ち上げた瞬間、「えっ、重っ」と声が出た。ワンタッチ構造のフレームが内蔵されている分、ポールテントより重い。車でキャンプ場まで行くなら問題ないけど、「軽量コンパクト」とは言えない。収納袋もそれなりに大きくて、車のトランクで場所を取る。

生地の質感は、思ったより悪くなかった。インナーテントとフライシート(カバー)の二重構成になっていて、価格の割にはしっかりしている印象。他のテントを使ったことがないから比較はできないけど、1月のキャンプでも断熱性に不安は感じなかった。

Naturehike Village6.0 ワンタッチテント 第二世代

Naturehike Village6.0 ワンタッチテント 第二世代

前室が思った以上に広いのも良かった。靴や荷物を置くスペースがしっかりある。テント内の居住空間も2人なら十分で、荷物を中に入れても寝返りが打てるくらいの余裕がある。高さもすごく高いわけじゃないけど、座って着替えるには十分。あとはこの中に敷く寝袋とマットを揃えれば、自前の寝床が完成する。COODY を諦めた未練はまだ少しあるけど、使ってみると「この選択で正解だったな」と思える瞬間が増えていった。

テントシートとキャノピーポール

テントと一緒にカートに入っていたのが、Naturehike のテントシートとキャノピーポールだった。全部妻が調べて見つけてくれていた。

テントシートはテントの底面に敷くシート。Amazon のレビューで「テントシートなしで使ったら底面に穴が空いた」というのが何件かあったらしい。テントの底面は地面の小石や枝で傷つくリスクがあるし、長く使っていると擦れて穴が空くこともあるらしい。テントシート1枚でテントを守れるなら、安い保険だ。

もうひとつ大きいのが地面からの湿気。キャンプの口コミに「朝起きたらテントの底がびっしょり」という声がちらほらあって、テントシートを敷いておけばそれを防げるという。

サイズはテント専用のものを選んでくれていた。汎用のブルーシートでも代用できるけど、端がはみ出すと雨水がシートの上に溜まって逆効果になる。約3千円。

芝生の上に広げた黒いテントシート。この上にテントを設営する
Naturehike テントシート(Village6.0 対応)

Naturehike テントシート(Village6.0 対応)

キャノピーポールは Naturehike の拡張用(180cm)。キャノピーというのは、テントの前室の幕をポールで跳ね上げて作る日除け・雨除けの空間のこと。

キャノピーの下にチェアとテーブルを並べた「リビング」空間

タープという選択肢もあるけど、タープを張るにはロープワークが必要だし、ペグの本数も増える。私たちのペグ打ちスキルは TORAMII で実証済み、つまりほぼゼロ。(あのときスタッフさんに基本を教えてもらったおかげで、ペグの存在意義だけは理解できたけど。)

キャノピーポールなら、テントの幕にポールを差し込んでロープで引くだけ。タープを別で買うより安いし、設営も格段に楽。

ただ、過度な期待は禁物。キャノピーはあくまで「テントの幕を跳ね上げただけ」なので、本格的なタープに比べるとカバー範囲は狭い。風が強い日はバタバタして安定感に欠けそうだし、YouTube のキャンプ動画で「強風の日はキャノピーをたたんでおく」とアドバイスしている人もいた。それでも何もないよりはずっとマシだと判断した。約2千5百円。

Naturehike 拡張キャノピー用ポール 180cm

Naturehike 拡張キャノピー用ポール 180cm

Naturehike Village6.0 テントとキャノピーポールで跳ね上げた前室

道具が届くのを待ちながら

テント本体が約1万5千円(Amazon のセールに感謝)、テントシートが約3千円、キャノピーポールが約2千5百円。合計で約2万円。焚き火道具と合わせると、もう3万円近い出費になっている。

ふと思った。もしキャンプを2回で辞めたら、この荷物はクローゼットの肥やしになる。初キャンプの TORAMII でのレンタル一式が14,000円。ほぼ同じ金額でテント一式が手に入った計算だけど、「1回で辞めたらレンタルのほうが安かった」とも言える。

でも Amazon で楽しそうにテントシートやポールを選んでいる妻を見ていたら、そんな心配はどうでもよくなった。一緒に使おう、と素直に思えた。

自分の中にも「キャンプは続ける」という妙な確信があった。あの TORAMII の夜がそう思わせてくれた。3つとも Naturehike で揃えたのは、同じブランドならサイズの互換性を心配しなくていいから。初心者が「このシート、うちのテントに合うかな?」と悩まずに済むのは地味に大きい。

次のキャンプでは、自分たちだけでテントを建てる。そして建て終わったら、バーナーでコーヒーでも淹れよう。実際、後日外でドリップコーヒーを淹れてみたら、これがまた新しい楽しさだった。