「次のキャンプでコーヒー淹れてみない?」
調理器具を揃えたあと、浦安のデイキャンプの準備をしているときに妻が言い出した。バーナーを買ったきっかけの半分が「朝コーヒー問題」だったのに、自分はバーナーを手に入れた時点で満足していた。コーヒーのことはもう忘れかけていた。
家ではコーヒーを自分で淹れたことがない。朝はコンビニか、カップにお湯を注ぐだけのスティックタイプ。ドリッパーもペーパーフィルターも触ったことすらなかった。
でも妻は言い出すと準備が早い。KALDI でドリッパーとペーパーフィルター、コーヒー粉を買ってきて、デイキャンプの荷物に入れていた。ドリッパーは462円のプラスチック製。コーヒー粉も KALDI で適当に選んだやつ。
浦安のデイキャンプで初ドリップ
1月、浦安市総合公園のデイキャンプ場。自分たちの道具を初めてフル投入した日だった。テントもテーブルも焚き火台も全部自前。前回の TORAMII ではレンタルだったことを思うと、けっこうな変化だ。
設営が一段落して、サムギョプサルの仕込み肉を焼き始める前。妻が「先にコーヒーやろう」と言うので、ST-310 でお湯を沸かしてポットに移す。マグカップの上にドリッパーを載せて、フィルターをセットして、粉を入れて。
YouTube の動画で見た「少量のお湯で蒸らす」をやってみた。粉が少しだけ膨らんだ。そこからお湯を注ぐ。コーヒーが少しずつマグカップに落ちていく。
これだけの作業が、やたらと楽しい。
2人分淹れて妻に渡した。言い出しっぺの妻はサムギョプサルの準備に移っていて、受け取ったけど味についてのコメントは特になかった。提案した本人がもう肉のほうに集中している。
味はともかく、「淹れる時間」のほうが楽しい
美味しかったかと聞かれると、よくわからない。KALDI で妻が適当に選んだコーヒー粉だし、湯温も測っていないし、お湯の量も目分量で注いだ。
まずくはなかった。普通にコーヒーだった。
ただ、味が美味いかどうかはそんなに重要じゃないと気づいた。
コンビニの100円コーヒーのほうが間違いなく安定して美味い。でもコンビニのコーヒーに「蒸らし」の時間はない。100円入れてボタンを押したら数秒で出てくる。
キャンプのドリップコーヒーは全部逆で、手間だらけ。お湯を沸かす。ポットに移す。蒸らす。注ぐ。待つ。その手間が全部、いい時間になる。
完成したコーヒーはおまけみたいなもので、本体は「淹れている過程」のほうだった。
マルチグリドルでサムギョプサルを焼いていたときにも似た感覚があった。外で何かを作ると、家のキッチンでは感じない「過程の楽しさ」がある。コーヒーはそれが一番わかりやすかった。工程が少ないぶん、ひとつひとつの動作に意識が向く。沸かす、蒸らす、注ぐ。たった3ステップなのに、全部が「いい時間」になる。
家で同じことをやったら、たぶん面倒なだけだと思う。
Amazon も調べたけど、KALDI にした
妻がコーヒーを淹れようと言い出してから、Amazon で「キャンプ コーヒー ドリッパー」と調べたりもした。キャンプ用の専用ドリッパーはけっこういろいろある。
ユニフレーム コーヒーバネット cute
ユニフレーム コーヒーバネット cute
YouTube のキャンプコーヒー動画で頻繁に見かけるやつ。バネ状の金属ワイヤーでフィルターを支える構造で、使わないときは平らに畳める。約2,500円。Amazon のレビューでは「安定感がある」「コンパクトに畳める」という声が多い。ただし市販の台形フィルターは形が合わないため、専用フィルターを買う必要がある。
HARIO の V60 なら1,000円以下。市販のフィルターが使えるし、ドリッパーとしての評価も高い。折りたためないから荷物にはなるけど、家でも使えるのは利点だと思う。
こういう選択肢も見たけど、結局 KALDI に寄ったときに店頭でドリッパーを手に取って、コーヒー粉と一緒にその場で買ってきた。462円。初めてドリップコーヒーを淹れるのに、いきなり Amazon で2,500円のドリッパーを買うのはちょっとハードルが高い。実物を見て選べる安心感もあるし、合わなかったとしても462円なら痛くない。
結果的にこれで正解だった。KALDI のドリッパーで普通に美味しくコーヒーを淹れられたし、プラスチック製で軽いからキャンプの荷物としても気にならない。キャンプ専用のドリッパーは、もっとコーヒーにハマってからでいいと思う。
KALDI のドリッパーとコーヒー粉、合わせて1,000円ちょっと。それだけで外で淹れるドリップコーヒーは十分楽しめた。味がどうとかじゃなくて、「お湯を沸かして、蒸らして、注ぐ」という一連の動作そのものが特別な時間になる。道具の値段じゃない。
ちなみにこの日の昼ごはんは、サムギョプサルからさらにハードルを下げて冷凍食品だけで済ませた回もある。コーヒーは手間をかけて、ご飯は手軽に。このバランスが今の私たちのスタイルになりつつある。