春からキャンプを始めたい。あるいは、冬キャンプを経験して春に備えたい。どちらにしても、地味に困るのが「何を着ていくか」だった。
冬のデイキャンプを4回やってきたけど、服装は毎回「ダウンジャケットとヒートテック」の一点張り。寒さ対策は厚着で解決していた。寝袋とマットを調べたときに「キャンプの寒さは家の寒さと全然違う」と思い知ったから、服装もちゃんと考えておきたくなった。
春は暖かいから適当でいいだろう、と思いかけたけど、本当にそうなのか。キャンプ系のブログやYouTubeをいくつか見て回って、調べてみた。
「普段着でよくない?」
妻に聞かれた。
自分もそう思っていた。3月になれば都内は10度を超える日が増える。パーカーにジーンズ。週末の公園と変わらない服装でいい気がする。
でもキャンプ系の情報サイトを読んでいると、どこも「春の寒暖差を甘く見るな」と書いている。朝の時点で5度、日中は18度、日が沈んだらまた5度。1日のうちに気温が10度以上動くことがある。都内のデイキャンプならまだいい。少し郊外のキャンプ場——たとえばアークの森のような山寄りの場所だと、夕方からの冷え込みはもっと厳しいはず。
冬のキャンプでは「寒い」の一言で済ませていたけど、春は「暑い」と「寒い」が同じ日に来る。厚着一択が通用しない。それが春の難しさらしい。
春の敵は「昼と夜の温度差」
キャンプ系のYouTubeチャンネルをいくつか見ていて、繰り返し出てきたのが「寒暖差」と「風」の話だった。
春の日中は気持ちいい。15度を超えればフリース1枚で十分動ける。ところが太陽が沈むと気温が急に下がって、さっきまでの快適さが嘘みたいになる。キャンプの情報サイトによると、標高が100m上がるごとに気温は約0.6度下がるそうで、山間部のキャンプ場だと平地より3〜4度低いことも珍しくない。
もうひとつ、春は風が強い。冷たい風は体感温度を一気に引き下げる。焚き火をしていても、風向きが変わると火の粉が飛ぶし、体が冷える。
デイキャンプなら午後に撤収すれば済む。でも泊まりキャンプだと朝晩の冷えから逃げられない。アークの森で「泊まりで来たい」と思ったから、春に泊まりデビューする可能性がある。その前に服装を整理しておきたかった。
レイヤリング — 3枚で考える
キャンプの服装を調べていて何度も目にしたのが「レイヤリング」という言葉。日本語だと「重ね着」。ただ闇雲に重ねるんじゃなくて、3つの層に役割を分けて考える方法のこと。
- 1枚目(ベースレイヤー) — 汗を吸って速く乾かす
- 2枚目(ミドルレイヤー) — 暖かさを保つ
- 3枚目(アウターレイヤー) — 風や雨を防ぐ
暑くなったらアウターを脱ぐ。寒くなったら羽織る。1枚の分厚いダウンジャケットで凌ぐより、薄い服を3枚重ねたほうが気温の変化に対応しやすい。登山の世界では常識らしいけど、自分はキャンプを始めるまで知らなかった。
1枚目 — 肌に触れるもの
一番意外だったのがここ。
普段着ている綿のTシャツやヒートテック(綿混紡のもの)は、汗をかくと生地が水分を含んだまま乾きにくい。濡れた肌着が体温を奪い続ける。キャンプ系のブログでは「汗冷え」と呼んでいた。
代わりに勧められているのがポリエステルやメリノウールの速乾素材。ポリエステルのほうが安くて手入れも楽。メリノウールは防臭に優れるけど、1枚5,000円を超えるものが多い。
「ユニクロのエアリズムでよくない?」
妻の意見。エアリズムはポリエステル系の速乾素材だから、わざわざアウトドアブランドの肌着を買わなくても対応できるかもしれない。メリノウールとの性能差はあるだろうけど、春のデイキャンプでそこまでの差が出るかは正直わからない。まず手持ちで試してみて、不足を感じたら買い足すつもり。
2枚目 — 暖かさを保つもの
中間着の定番はフリース。軽くて暖かくて、脱いでも嵩張りにくい。
Amazonで「キャンプ フリース」と検索すると、コロンビアやノースフェイスが並ぶ。5,000〜10,000円。キャンプ系のYouTubeでは「ワークマンのフリースが3千円前後で十分」という動画もよく出てくる。
薄手のダウンジャケットも選択肢に入る。ユニクロのウルトラライトダウンなら畳むとコンパクトになるし、バッグに入れておいて夕方から羽織る使い方ができる。
ここは家にあるもので何とかなりそうだった。フリースもダウンも1着は持っている。新調が必要なのは、むしろ次のアウターのほうだった。
コロンビア スティーンズマウンテン フリース ハーフジップ
3枚目 — 風と火の粉を防ぐもの
春キャンプのアウターに求められるのは「風を通さない」こと。薄手のウインドブレーカーやシェルジャケットが定番とされている。日中は畳んでバッグに入れておいて、風が出てきたらサッと羽織る。
ただし、ここでキャンプ特有の問題がある。
焚き火をやるなら素材の話は避けて通れない
焚き火道具を揃えたときに口コミで読んだ話がある。ナイロンやポリエステルのジャケットは、焚き火の火の粉が当たると溶けて穴が空く。フリースも同じ。せっかくのアウターに小さな穴がいくつも空いて台無しになる、という体験談がいくつも出てきた。
自分はまだ服に穴を空けた経験はない。でも4回の焚き火で火の粉が飛んでくるのは何度も見ている。冬はダウンジャケットの上に何も考えず座っていたから、穴が空いていないのは運が良かっただけかもしれない。
焚き火を楽しむなら、綿(コットン)や難燃素材のアウターを選んだほうがいいらしい。最近は「TC素材」(ポリエステルとコットンの混紡)を使ったキャンプ用ウェアも増えていて、Amazonで調べていて見つけた。焚き火ポンチョ、焚き火ジャケットと呼ばれるジャンルがある。
飯盒でお世話になったキャプテンスタッグからも難燃素材のポンチョが出ていた。価格は3,000〜4,000円くらい。焚き火台やシートと合わせてキャプテンスタッグで揃える選択肢もある。ただ、ポンチョ型は腕が動かしにくそうで、薪をくべたり調理するときに邪魔にならないか少し気になっている。購入は次のキャンプまでに判断するつもり。
キャプテンスタッグ ブラックラベル 難燃ニットポンチョ
風よけのウインドブレーカーと焚き火用のコットン系アウター、理想は両方持っていくこと。でも荷物が増える。現実的にはどちらか1枚になりそうで、焚き火をやる日はコットン系、風が強くて焚き火をしない日はウインドブレーカー。天気予報を見て決める運用を考えている。
焚き火のそばでは服装だけでなく安全面も忘れずに。火がついている状態で着火剤を追加しない、風向きに注意して座る位置を変える、燃えやすいものをテントやタープの近くに置かない。耐熱グローブも服装の一部として必ず持っていく。
足元と小物のこと
上半身のレイヤリングばかり調べていたけど、キャンプ系のブログを読んでいたら「足元を忘れる人が多い」と書いてあった。
春のキャンプ場は朝露で地面が湿っていることがある。芝生サイトは水分を含むし、砂利サイトでも雨の翌日は泥っぽくなる。スニーカーだと染みる。防水のトレッキングシューズが安心だけど、わざわざ買うのはハードルが高い。
当面は汚れてもいいスニーカーで行くつもり。お気に入りの靴は履いていかない。それだけ気をつければ、春のデイキャンプなら大丈夫だろう。
小物でいうと、帽子は意外と重要らしい。春は紫外線の量が3月中旬から急増するという記事を見た。日焼けもそうだけど、直射日光を浴び続けると疲れやすくなる。キャップかバケットハットがあるといい、とキャンプ場選びのブログに書いてあった。
まず手持ちの服で行ってみる
持ち物リストの記事でも書いたけど、最初から全部揃えようとすると出費が膨らむし、腰が重くなる。服装も同じ。
調べてみて分かったのは、春キャンプの服装はそこまで特殊じゃないこと。
- ベースレイヤー → 手持ちのエアリズムや速乾Tシャツ
- ミドルレイヤー → 家にあるフリースや薄手のダウン
- アウター → ウインドブレーカーかパーカー
この3枚で、春のデイキャンプは成立する。
唯一、キャンプ特有の買い物になりそうなのは焚き火用のコットン系アウター。これも焚き火をやらないなら不要。我が家は毎回焚き火をやっているから検討中だけど、焚き火をスキップすれば手持ちだけでいける。
道具選びのときもそうだった。最低限で始めて、足りなかったら次に足す。服装のことを延々調べているより、実際に行ってみて「ここが寒かった」「これは要らなかった」を知ったほうが早い。春キャンプの服装は、1回行けば自分なりの正解が見えてくるはず。