「バーナーって必要?カセットコンロでよくない?」
妻に言われた。正直、自分もそう思っていた。家にイワタニのカセットコンロがある。CB缶(カセットボンベ)も余っている。それをキャンプに持っていけばいいんじゃないか。
調理器具を揃えたときに散々迷った。カセットコンロは無料(家にある)、キャンプ用シングルバーナーは6,000円。出費を抑えたい初心者にとって6,000円は小さくない。結局 SOTO ST-310 を買った。3回のデイキャンプで使ってみて、買ってよかったと思っている。でもカセットコンロでも成立はする。
この記事は「バーナーを買うべきか迷っている」人に向けて、カセットコンロとの違いと、ST-310 を3回使った実感を書く。
カセットコンロとシングルバーナーの違い
家庭用カセットコンロとキャンプ用シングルバーナーは、やっていることは同じ。CB缶のガスに火をつけて、上に鍋を載せる。違いはサイズ、重さ、そして風への強さ。
| カセットコンロ | シングルバーナー(ST-310) | |
|---|---|---|
| 重さ | 約1.5kg | 約350g |
| 収納サイズ | 大きい(そのまま) | 手のひらサイズ(折りたたみ) |
| 火力 | 3.5kW 前後 | 2.9kW(ST-310) |
| 風への耐性 | 弱い(炎がむき出し) | やや強い(風防あり) |
| 価格 | 2,000〜3,000円 | 5,000〜8,000円 |
| 燃料 | CB缶 | CB缶(ST-310の場合) |
火力はカセットコンロのほうが上。料理だけを考えればカセットコンロで十分。
じゃあなぜバーナーを買ったのか。
「持ち運び」が決め手だった
デイキャンプの荷物は意外と多い。テント、焚き火道具、テーブル、チェア、クーラーボックス、食材、ゴミ袋。車のトランクに全部入れると、カセットコンロの箱がかなり場所を取る。
ST-310 は折りたたむとポーチに入る。ポーチごとバッグの隙間に突っ込める。これだけで車のトランクに余裕ができる。
もうひとつ、IGTテーブルに埋め込めること。IGTテーブルはバーナーを天板の中にセットできる設計で、テーブルの上で調理ができる。カセットコンロだとテーブルの上に載せることになるけど、背が高くなって不安定だし、作業スペースを圧迫する。
初キャンプのTORAMIIでは地面にしゃがんで調理した。腰が死んだ。テーブルにバーナーを組み込んで立ったまま調理できるようになったのは、ST-310 + IGTテーブルの組み合わせのおかげ。
CB缶とOD缶の違い
キャンプ用バーナーを選ぶとき最初に出てくるのが「CB缶」と「OD缶」の話。バーナーを調べ始めるまで知らなかった。
CB缶(Cassette Bombe) — 家庭用カセットコンロと同じ縦長のガス缶。コンビニやスーパーで3本300円くらいで売っている。安い。どこでも手に入る。
OD缶(OutDoor) — アウトドア専用のずんぐりした缶。アウトドアショップやホームセンターで1缶500〜700円。CB缶の2倍以上高い。ただし低温に強く、冬キャンプではOD缶のほうが火力が安定するとキャンプ系のYouTubeで説明されていた。
ST-310 は CB缶対応。これが選んだ最大の理由。OD缶対応のバーナーのほうが種類は多いけど、燃料のランニングコストが倍になる。CB缶ならコンビニで買える。デイキャンプの帰りに燃料を買い忘れたことに気づいても、コンビニに寄ればいい。
「OD缶じゃないと冬キャンプで使えないんじゃない?」と思ったけど、CB缶でも気温10度以上なら問題ないとAmazonのレビューに書いてあった。冬のデイキャンプを4回やったけど、12月末のTORAMII以外はCB缶で火力不足を感じたことはなかった。真冬の泊まりキャンプで朝の気温が0度近いような状況になったら、OD缶のバーナーを検討するかもしれない。今のところは不要。
3回使って分かったST-310の良いところ
浦安、GRAND lodge FIELD、アークの森。3回のデイキャンプで毎回使った。
火力調節がしやすい。焚き火台での直火調理は火力のコントロールが難しい。冷凍チャーハンを焼いたときも焚き火ではなくST-310で調理した。ツマミを回すだけで弱火にも強火にもなる。当たり前のことだけど、焚き火しか知らなかった身としては画期的だった。
コーヒーが淹れられる。浦安のデイキャンプで初めて外でドリップコーヒーを淹れた。家では全くコーヒーを淹れたことがなかったのに、外でやると作る過程自体が楽しかった。ST-310でお湯を沸かして、KALDIのドリッパーで淹れるだけ。462円のプラスチックドリッパーで十分美味しかった。これはST-310がなかったら体験できなかった。
点火が安定している。ST-310にはマイクロレギュレーターという機構が内蔵されていて、外気温が低くてもCB缶の圧力を一定に保つらしい。キャンプ系の情報サイトで読んだ。実感としては、1月の朝(気温5度くらい)でも一発で着火した。3回使って点火に失敗したことがない。
SOTO レギュレーターストーブ ST-310
ST-310の弱点
良いことばかり書くと胡散臭いので、正直に。
風に弱い。屋外で使うから当然風が吹く。風が直接炎に当たると、お湯が沸くまでの時間が倍くらいになることがあった。アークの森は林間サイトだったからまだ良かったけど、開けた場所では風防(ウインドスクリーン)がないと効率が悪い。
Amazonで「SOTO ST-310 風防」と検索すると、専用のウインドスクリーンが1,000〜2,000円で出てくる。まだ買っていないけど、次のキャンプで風が強かったら購入するつもり。
五徳が小さい。ST-310の五徳(鍋を載せる部分)は4本足で、大きな鍋やフライパンを載せるとやや不安定。マルチグリドルを載せるときは慎重に位置を合わせる必要がある。ただし3回使って落としたことはない。
本体が熱くなる。使用中は本体全体が熱くなるから、素手では触れない。消火した直後も数分は熱い。耐熱グローブを焚き火用に持っているから、バーナーの移動にも使っている。専用の遮熱板(シリコンチューブ)もあるらしいけど、グローブで済んでいるので買っていない。
ST-310以外の選択肢
ST-310を買う前に比較したバーナーが2つある。
イワタニ ジュニアコンパクトバーナー。CB缶対応で、カセットコンロのイワタニが出しているキャンプ用バーナー。価格は4,000円前後でST-310より安い。Amazonのレビュー数も多い。ただしマイクロレギュレーターがない(寒冷地での火力安定性が劣る)のと、五徳が3本足で安定性がST-310より低い。キャンプ系のYouTubeでは「春〜秋のデイキャンプならジュニアコンパクトバーナーで十分」と言っている人もいた。
SOTO ウインドマスター SOD-310。OD缶対応のSOTO製バーナー。風に強い構造で、ST-310の「風に弱い」という弱点を克服している。ただしOD缶のランニングコストが高い。CB缶対応にこだわるならST-310、風対策を最優先にするならウインドマスター、という使い分け。
結局ST-310を選んだのは「CB缶で安い」「IGTテーブルに組み込める」の2点。妻にプレゼンしたときも「燃料が安いほうがいい」が決め手だった。
「カセットコンロでいいんじゃない?」への回答
妻の最初の疑問に戻る。答えは「カセットコンロでも成立するけど、バーナーのほうが楽」。
デイキャンプで料理をするなら、カセットコンロでも全く問題ない。持ち物リストにも「カセットコンロ or シングルバーナー」と書いた。どちらでも火は使える。
バーナーを買う価値があるのは以下の場合:
- 車のトランクにスペースの余裕がない(コンパクトさ重視)
- IGTテーブル等に組み込んで使いたい
- キャンプの頻度が月1回以上(持ち運びの手間が積み重なる)
- 泊まりキャンプも視野に入れている(荷物の軽量化が重要になる)
逆に、年に数回しかキャンプに行かないなら、カセットコンロで十分。6,000円を他の道具(グランドシートや虫除けなど)に回すほうが優先度は高い。
SOTO レギュレーターストーブ用 ウインドスクリーン SOD-451
我が家は結果的に3回使った。4回目以降も持っていく。費用まとめで約6,000円と書いたけど、3回で元は取ったと思っている。カセットコンロを毎回車に積む手間と、テーブルに組み込める利便性を考えると、初心者でも「最初から買って良かった道具」のひとつに入る。